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The Falkirk Wheel  フォルカーク・ホイール
               2010年5月28日 訪問  水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

フォルカークの街で洗濯物を無事ゲットしフォルカーク・ホイールに着いたのは、乗船50分前、首尾は上々だ。雨は上がり、太陽が顔を出す。スコティッシュな天気だ。
フォルカーク・ホイールは"The Forth and Clyde Canal"と"The Union Canal"の2つの運河をを繋ぐ回転式ボートリフト(Rotating Boat Lift)だ。 2本の運河のレベルの違いは35メートルあり、かつては11の閘門(Locks)繋いでいたが、1930年代に使われなくなった。
グラスゴーとエジンバラを再接続すべく、7つの自治体と各種団体が協力して、21世紀のランドマークとなる構造物(dramatic 21st century landmark structure) を目指して造られたものだ。エリザベス女王の在位50周年の祝賀の一環として、2002年5月24日に女王をお迎えしてオープンされものだ。

時間はたっぷりあるのに、駐車場から先、自然早足となる。見えてきたのThe Forth and Clyde Canal、昨日訪れたグラスゴーのクライド湾、クライド川から続く運河だ。 河畔の深い緑と、とうとうたる水の流れが旅情を誘う。浮かぶナローボートのカラフルさに心躍る。 写真下左から2枚目の中央に鎮座する見慣れぬ構造物がフォルカーク・ホイールだ。その左の半円形の建物がビジターセンターだ。
ビジターセンターで受付を済ませ、はやる心を静めんとティータイムにする。旅の後半に訪れるアラン島のアイスクリ−ムがあるというので食してみる。 特に変わりなし。ケーキはすこぶる甘い。

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そうこうしている内に、前の組の乗船が始まったようだ。これをビジターセンターで座して見つめておらりょうか、という訳で、妻を残して出口を探す。
フォルカーク・ホイールの仕組みを説明しよう。ホイールにはゴンドラが2つある。下のゴンドラ(Bottom Gondola)にボートが乗り込む(写真下左)。 この時、上のゴンドラにはThe Union Canalから来たボートが乗り込んでいる。船が乗り込むとゴンドラの水が溢れる。そのためアルキメデスの原理で、 ゴンドラの重さは600トンにたもたれ、2つのゴンドラのバランスが取れるという訳だ。そのため動力も”ヤカン8つ分の水を沸騰させる程度のエネルギー” の電力で済むという優れものだ(夜間8つ分と言われても・・・)
すると、ホイールが回転し始める(写真下左から2枚目)。ゆっくり回転して90度、水平になる(写真下右)。さしたる音もなく、静かに動く。 変わったデザインだが”ケルトの双頭斧”を模していると聞けば、なるほど納得。

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更に回転は進み、ゴンドラは上下入れ換わって行く。ゴンドラが常に水平を保つ為に高等な設計がなされているのだが、興味ある方はフォルカーク・ホイールのホームページをご覧あれ。 機能美とデザイン美を兼ね備えた"working sculpture"だ。とはいえ、剥き出しの歯車にメカであることを認識する。ホイールの高さは35m、巨大マシンだ。
そして、始動から15分、再び垂直状態になり止まる。これで一気に24m上に上がったのだ。水門が開きボートは運河へと出て行く。
この動く姿をウェブで初めて見た時の興奮がよみがえってくる。ワクワクドキドキの15分のスペクタクルだった。ウェブ検索すると簡単に動画が見つかる。ご一見を薦める。

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direction

我々の乗る次の運転まではしばらくある。ビジターセンターのショップを冷やかす。ボート乗り場への入口に籠が置いてある。「この籠を持って乗るのだろうか?  いったい何のために?」と真剣に考えるが、答えが出ない。女性店員に訊ねると「ショッピング用です」と笑われた。赤面。
韓国人の団体が買い漁っている。気分の良い物ではない、他山の石としよう。ケルト紋様のコンパクトを見付ける。ケルト模様が大好きな友人に迷わず求める。 (実はその後のショッピングでも度々見かけたポピュラーなものだった)

15分遅れで、いよいよ乗船だ。一番で並んで最前列を確保したが、先ほどの団体に囲まれ騒々しいこと、已む無く離れた後部席に移る。お蔭で、ワクワクしていた気持ちが沈んでしまう。
ボートがゴンドラに侵入する。天井を見上げると太い車軸が見える。直径3.5mだ。天井が濡れているのは雨の所為ではなく、上のゴンドラからこぼれた水の所為だ(写真下左)。
ホームページでは"enjoy the stunning views of the spectacular surrounding scenery"と謳っているが、それ程でもない。乗る前から予想されたことだが、 この手の乗物は、実際に乗るよりも外から見ている方が面白いというものだ。振動もなく静かに回転していく。
ゴンドラを出たボートは狭い水路橋(aqueduct)を通って係船池(basin)へ向かう。ここから2つの閘門(写真下右から2枚目)を超えて11m上のThe Union Canalと進んで行くのだ。 The Union Canalは滞在地のリンリスゴーを通りエジンバラまで繋がっている。
水路橋と係留池の間に150mのトンネルがある。アントナイン・ウォール(Antonine Wall)といい、あのハドリアヌスの長城(Hadrian's Wall)と同様にローマ人によって2世紀に築かれた 遺跡があり、その下を潜っているのだ。このために35mでなく、24mのリフトとなったようだ。
写真下右はトンネル内から水路橋のアーチを望む図だ。美しい。イギリス人の英知に心から敬意を贈る。

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再びゴンドラに乗り、元に戻り40分の旅は終わった。
今度はゆっくりと下の係船池の周りを巡る。The Forth and Clyde Canalと係船池の間にも閘門があるが、水位の差はほとんどないようだ(写真下左)。
馬の首のオブジェがある。ここに何故馬がと思い調べる。ケルピー(Kelpie)という幻獣で、スコットランド地方の水辺に住む悪意を持った恐ろしい水の精と判明。 馬の姿をしているが、魚の尾を持ち、藻のたてがみを持っているらしい。このオブジェをモデルに35mの大きなオブジェを造る計画もあるという。 日本流に言うなら、河童を祀って水の安全を祈願するといったところか。
このリフトは、やはり外から眺める方が感動する。とはいえ、一度は乗ってみないと・・・、日本流に置き換えるなら「富士山に登らぬ馬鹿、2度登る馬鹿」だろうか。 かく言う私は2度登った・・・。

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Information
 Address  Lime Road, Tamfourhill, Falkirk FK1 4RS
 Telephone  08700 500 208
 Web Site  The Falkirk Wheel

詳細はWeb Siteなどでご確認ください。

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